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2018年4月26日 (木)

函館「世界料理学会2018」レポート(1日目)

一年半ごとに函館で開催される「世界料理学会 in HAKODATE」が、今年2018年は4月23日~24日に行なわれました。2019年9月の前回以来です。

今年で7回目を迎えた、料理人の、料理人による、料理人のための学会。海外では開催されていますが、日本でここまで継続しているのは、ここ北海道・函館だけ。

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開会ではまず登壇者やシェフの方々が全員集合!記念撮影となります。

舞台袖でそっと遠慮されていたワインショップ「丸又和田商店」の和田一明さんはこの学会を立ち上げた創生期メンバーのおひとり。

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かつてスペインのバスク地方では、料理人たちが夜な夜な勉強会をするようになり、互いに切磋琢磨して世界有数の美食の地となりました。それを現地で目の当たりにして、函館でもぜひ!と声をあげた「レストラン・バスク」深谷宏治シェフと、熱い思いを実現できるよう支えてきたパン屋さん「ヒュッテ」木村幹雄さん。

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料理人の学会といっても、いろんな職種の方がかかわって「食」を考えていらっしゃるのです。その知識の片りんに触れるだけでも貴重な機会で、それがしかも北海道で行なわれているということが有難いと思います。

講義は二日間に分けて開催されますが、どれも中身が濃く、ひとつひとつ紹介していると一冊の書籍(つくりたい!)になってしまうので、ほんの一部をレポート。

まずオープニングは、「北海道生活」でも紹介させていただいた「美瑛料理塾」の齋藤壽さん。世界中の料理人を学会に呼び掛けた立役者のひとりで、「専門料理」「料理王国」編集長を手掛けてきた方です。

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学会には毎回テーマが用意されており、講義内容に入れるかどうかは登壇者に任されているのですが、今年のテーマは「山菜」

「洋食の料理人が多いこの学会で、山菜?」と想像がつきませんでした。しかし、これが意外と感動的なつながりをつくるのです。

まず始めにご登壇されたのは、スペインの「Restaurante a Tafona de Lucia Freitas」ルシア・フレイタス・ロドリゲスさん。スペインには昔から、女性料理人の歴史というのもあるのだそうです。

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それでもルシアさんは、性別を超えて、ひとりの料理人としての意識の高さが十分に感じられました。彼女のレストランはガリシアという地にあり、それが日本の三陸海岸(リアス式海岸で知られますが、実はリアスとはスペイン語)と地理や環境が似ているのです。

この地は海岸にあるため、山菜というより、海岸に生えた野草「海のハーブ」が実に多様。そうか、海だからといって魚介や海藻だけじゃないんだとわかりました。

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なんだか北海道の山わさびに似た辛い根っこも紹介されました。たくさんのハーブの紹介だけでなく、ご自分のレシピを3種紹介されました。この学会では惜しみなく自分のレシピを紹介するシェフもいらっしゃるんです。

次に、「オテル・ドゥ・ミクニ」三國清三シェフがご登壇。北海道・増毛町出身でだれもが知るフレンチの巨匠ですが、若いころのドキュメンタリーから現在、さらに修業時代に出会った本場フランスの巨匠たちとのかかわりなどを話していただきました。

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まさか、このドキュメンタリーが翌日の講義につながるとは、この時は予想だにいたしませんでした。

登壇者の方には、必ず紹介者がまずご登壇されます。特に初めてご登壇される方は、私も知識がないため、このご紹介がとても楽しみでもあります。

「TERAKOYA」間光男シェフのご紹介で初登壇された「傳」の長谷川在佑シェフ。「この店には、長谷川さんの笑顔に会いに来るんです」と間シェフ。どんなお店なんだろう、と興味がわきます。

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日本料理の腕を磨き、自分のお店をオープン。苦悩の時代から、やがて「日本料理は楽しい」と思えるような店をと考えを変えたそうです。確かに盛り付けもユニークで見た目に楽しい料理を紹介。

さらには、富士山で野草を摘みに行くこともあるのです。「山に入る人はキノコ(タケノコ)の場所を教えない」といいますが、その理由は、とるべきものをわかっていない人がすべて摘んでしまうと「来年から生えないから」ということだそうです。

この考え方も、ほかの講義と同様につながっていくのです。

【スペシャルセッション1】地方から発信するガストロノミーの未来と革新

会場の芸術ホールの地下では、「ル・ミュゼ」石井誠シェフ、「レヴォ」谷口英司シェフ、「ヴィラ アイーダ」小林寛司シェフによる鼎談が行なわれていました。

この学会の唯一つらいところは、プログラムが同時に複数あるとき。体はひとつなので両方聞きに行けないのです……というわけでこちらには行けず

札幌で、富山で、和歌山でレストランを開き、そこから料理を発信する意義についてのお三方のお話はぜひ聞いてみたかったです。

さて会場をメインホールに戻しましょう。

シェフたちの間で話題になっている長野県「職人館」北沢正和さんのお話。公務員を辞め、山の中で一人で暮らし、蕎麦を打ち、山菜や野草で独創的な料理をつくっています。「野生動物は美味しいところだけ食べてしまう。だから動物たちに教えてもらう」という北沢さん。自然と共存共生するってこんなことなんですね。

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世界遺産となった白神山地、マタギ(山に生きる猟師)たちによる「白神マタギ舎」工藤茂樹さん。野生動物や植物が絶滅の憂き目にあっている今、マタギという仕事もほとんど知られなくなった今、マタギ文化が消滅しないように取り組まれています。山菜資源が枯渇しているため再現の必要を訴える一方で、山菜の美味しい食べ方も教えていただきました。

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次は深谷シェフをまじえての鼎談。70年代にフランス帰りのシェフとして脚光を浴び「フレンチ三羽烏」といわれた一人、「東京ドームホテル」総料理長・鎌田昭男さんと、開高健も山形まで通い詰めたという「ポットフー」を経て現在「ロアジス」最高顧問をつとめる太田政宏さん。50年ものキャリアの中で、フランス料理の変化、そして、新しい料理も革新から伝統になるようすが語られました。これから次世代へつなげるkと、改革と継続というテーマが浮き彫りになりました。

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一日目の最後は、東京・神楽坂「ル・マンジュ・トゥー」谷昇さんと、大阪「ラ・シーム」高田裕介さん。年代も地域も全く別のシェフの対談は、意外な共通点がありました。まず料理は試作をしないこと、まかないは和食にしていること。谷さんの話に何度も「インテリジェンス」と「アイデンティティ」という言葉が出ました。つねに考えること、自分の存在意義を見つめなおすこと、というのは、どんなにベテランになっても終わらないテーマなのだと感じました。

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そして料理とは手仕事につきること、そして、伝統と継承という言葉がここでも出てきました。

若いときにはそれほど気にしなかったことも、年を重ねていけばいくほど、残すべきものと続けていく必要に気づかされます。

いろんな個性・年齢の方々の発表のどれにも、そういった同じ思いが感じられたような、とても有意義な一日目でした。

(つづく)

(編集長)http://twitter.com/yukikoyagi/

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