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2016年9月22日 (木)

函館「世界料理学会2016」episode_1

9月5日、「世界料理学会 in Hakodate2016」が開幕となりました!

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初日は五稜郭タワーの目の前にある、函館市芸術ホールです。

開会のあいさつは、バスクの深谷シェフ。この方がいなければ、この学会もありませんでした。料理人が立ち上がり、補助金などに頼らず、自主的に始めた“料理人の学会”。

「6回目を迎え、自治体や大きな企業からも問い合わせが来るようになったけれど、変わらず情熱をもって進めていきたい」という決意表明でした。

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司会はパン職人(こなひき小屋→ヒュッテ)の木村さん。この方がいなければ、この学会もここまでの形にならなかったと思います。頼れる親方です。

「この会場がコックさんでいっぱいになる学会になった」と木村さん、初回がレストラン五島軒であったことを思い出すと、確かに多くの料理人が訪れるほど規模が拡大しました。

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この学会では料理人や食のプロが講義をされるのですが、その方を紹介するプレゼンターも料理人が行ないます。

オープニングセッションでは、東京「ル・マンジュ・トゥー」谷シェフがプレゼンター。前職の会社が近くだったので、美味しいフレンチを食べに時々通っていましたが、まさか函館でお会いできるとは……と感激しましたが、谷シェフも学会の常連でいらっしゃいます。

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谷シェフが著書で大きな影響を受けたという。玉村豊男さん、齋藤 壽さん。そして深谷シェフによる3人のトークセッションは、学会の肝になるような内容のお話でした。

深谷さんがお二人にぶつけたテーマは「素材・環境・経済」。オープニングにしては重たいテーマですが、「6回目で学会が認められてきた今こそ話したい」と深谷シェフ。

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本誌51号にてインタビューもさせていただいた齋藤さんは、長年フランス料理の現場を取材し続けてきたベテラン編集者でもありますが、最初の頃は「本物とは何か」を追い求め、雑誌でもフランスのものや「見たことがないもの」を紹介してきたそうです。それが、美瑛で料理塾をされている現在、この土から生まれるものや「目の前にあるもの」のよさを認めるようになった。この話は、他の料理人の講義でも同様の話として連鎖していきました。

長野県でワイナリーとワイン塾を営む玉村さんは、素材についても、地域の活性化についても「人」次第であるとお話されていました。素材がいいものであればあるほど、それに手をかける料理人の個性が生み出される。そして、活性化というと「地域創生」といった自治体のものと思われがちだけど、一つの地方に一人のいい料理人がいるだけで、そこに人は集まるという話が印象的でした。

……オープニングでここまで書きすぎると、後が大変なことになりますね。これでもホンのさわりで、私が聴くにはもったいないほど充実した濃い内容でした。では、この後の講義はテンポよくご紹介。

フィリピン「ギャラリー・バスク」チェレ・ゴンザレスさん。スペインで活躍していたゴンザレスさんが、さらに新天地を求めてたどりついたのがフィリピンだったそうです。フィリピンのイカをラビオリのように包んだ一品など、いくつかのレシピのほか、来場者には彼の哲学と一皿を映したカードが配られました。

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学会には毎回テーマがあるのですが、今回は「イカ」がテーマ。必ずしも全員がイカについて発表するわけではありませんが、ゴンザレスさんはフィリピンの食材の一つとしてイカを取り上げていらっしゃいました。

午後からは、東京の料理人の皆さんが中心となり、司会は山田チカラさんにバトンタッチ。山田さんも学会の常連で、熱心に毎回参加されています。ここから新しいゲストの方々が加わり、ガラリと雰囲気が変わります。

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東京「MASA UEKI」植木将仁さん。金沢で幼少期を過ごした植木さんの、郷土料理「治部煮」のアレンジには度肝を抜かれました。フランス料理の技法で、手をかけて植木さんの料理になる瞬間を大切にされているそうです。

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東京「TIRPSE」大橋直誉さんは、お茶と料理のペアリングについて。ソムリエである大橋さんは函館出身、あえてワインを出さないお茶だけのペアリングなど様々な挑戦をされています。日本人でありながら、料理と日本茶を合わせる食文化がなかなかないことに気づかされました。

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東京「SUGALABO」須賀洋介さんは「シェフズ・ハイ」というテーマで、たとえばランナーズ・ハイのように、料理人が苦しい鍛錬から達成感を得られてワクワクする気持ち、それは何かを話してくださいました。店は限られた期間にオープンし、それ以外では食材を求めて新しい地に旅行するというユニークなスタイルを貫いています。

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「アルケッチアーノ」奥田シェフに“孤高の料理人”と評された岩手「ロレオール田野畑」伊藤勝康さん。千葉県出身で、岩手県に移住。断崖絶壁にあるレストランを見たとき、まさに玉村さんのお話を思い出しました。岩手の自然の恵みに感謝する料理の数々は、旬のするめいかを使った料理までどれも魅力的に目に映りました。

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そして午後の目玉といえるのが、東京「六雁」秋山能久さんの佐賀県・有田で行なわれた「世界料理学会 in ARITA」の報告。秋山さんは函館の料理学会の常連でいらっしゃいますが、今年初めて有田での料理学会をプロデュースされました。

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有田でのイベントのようすは興味深く、有田焼の産地だからこそ「うつわと料理の関係」についてフィーチャーした内容も多くみられました。

ゲストとして佐賀「souRce」梶原大輔さんなど、有田の料理学会に参加された方々からのお話も聞くことができました。

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最後、トリをつとめるのは東京「日本料理 龍吟」山本征治さん。山本さんの発表は、毎回一本の映画を見ているような力作のVTRが話題で、今回もまた大いに会場を沸かせていました。先ほどの大橋さんの発表のように、以前の発表では日本料理とお茶のペアリングを提案されたこともあります。

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こうして長くて濃い一日目が終了……するはずが、料理人や関係者の皆さんは、これから夜のパーティという、大きな仕事がさらに控えているのです。

【つづく】

(編集長)http://twitter.com/yukikoyagi/

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