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2016年9月24日 (土)

函館「世界料理学会2016」episode_3

9月6日、「世界料理学会 in Hakodate2016」2日目(最終日)が函館国際ホテルで行われました。

前回までは3会場あったので「全部の講義に出たい!」という私にとっては悩ましかったのですが、今回は2会場になり、メイン会場は講義、サブ会場はグループディスカッションという形式になっていました。

メイン会場のスタートは、函館「ビーズ・ビー」平山 憲さん。「北海道生活」でも当初の函館特集で紹介した洋食屋さんですが、これまでの高級レストランのシェフたちとは一線を画し、なおかつハネものの食材でもプロの技術で最高に美味しい料理をつくりあげるという、料理人の誇りには違いがないことに気づかされました。

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平山シェフの創作した洋風イカめしはぜひ、函館で食べてみてください!

山形・鶴岡「アル・ケッチァーノ」奥田政行さんは、今回は同じく山形・酒田「レストラン ニコ」太田舟二さんとともにご登壇。太田さんのお父さんは、「東北に行くなら必ず行け」とまで言われたという「ル・ポトフー」のシェフ。ミシュランガイド本来の「旅をするのに価値ある一皿」という意味のとおり、それが東京でもなく、山形にあるということの理由がよくわかります。

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奥田さんの話は毎回楽しいのですが、その軽妙な話術で繰り出される独自の哲学、広くて果てしない世界は、ここではとても書ききれません。撮った写真も並べきれません……。

次はガラリと変わり、「函館頭足類科学研究所」桜井泰憲さんによるイカの生態と神経〆について。学会では毎回、こういった学術的な講座が一つあります。まさに料理学会、と理系な視点が加わります。終了後には桜井先生の発明したイカの神経〆の道具に、多くの人が押し寄せて見入っていました。

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札幌「ラ・サンテ」高橋 毅さんは、足寄町「石田めん羊牧場」の石田直久さんとともにご登壇。高橋シェフと生産者の石田さんが信頼関係で磨き上げて行く羊肉の美味しさは、私も大ファンです。昨年の「北海道生活」での羊特集でお世話になりました。そして講義の後は、あの、ミルクラムのフルコースをまた味わってみたくなりました!

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タイ・バンコク「Gaggan」ガガン・アナンさんは、インド人で、現在はタイでレストランシェフをしています。華々しい受賞歴も「ここでは言ってほしくない」と、あくまで自分自身と戦いながら革新をめざしているというストイックなシェフ。日本の食材や食文化、独特の四季の世界に関心が高いそうです。

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東京「フロリレージュ」川手寛康さんは、イケメンシェフと紹介されていたのですが、かなり骨太な講義でした。イギリスの衝撃的なショートフィルムを皮切りに、現代の飽食日本について、これからの未来を食で変えて行くことについて、強い意志を感じました。オープニングセッションでも「環境」というテーマがありましたが、こういった話が料理人から出たことに、学会に参加し続けてきてよかったと思いました。

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神戸「料理屋 植むら」植村良輔さんは、学会のテーマであるイカをとことん追求。イカそうめんやゲソ射込みといった日本料理の伝統技法を使った一品から、自分自身ができることを徹底的に追求した革新の一皿までを紹介してくださいました。

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札幌「ル・ミュゼ」石井 誠さんは、独自の作品世界を映像化した、観念的な大作。ここでプレゼンターについてご紹介しましょう。(すべての講義はプレゼンターの料理人がいらっしゃるのですが、ブログでは全部書ききれなかったので……) 「タカザワ」高澤義明シェフは、有田の料理学会でも活躍されたことを2日間で何度かうかがうことができました。それよりも今回の新発見は、歌が上手いということでした!

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そして、待ってました!最後の講義で、毎度おなじみの「リストランテ山崎」の山崎隆シェフによる歌が……大ファンです! このひょうひょうとしたプレゼンターから、最後にビシッとしめていただいたのが、金沢「日本料理 銭屋」高木慎一朗さん。加賀れんこんの生産者さんとともにご登壇。手練れの料理人、クオリティの高い食材をつくる生産者、そこに「目利き」を育てることも必要という視点も加わりました。

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サブ会場では、玉村豊男さん、田辺由美さん、辰巳琢郎さん、平川敦雄さんによる「日本ワインについて」のほか、イタリア料理について、中国料理の酢の活用法について、津軽海峡の料理人、と四つのディスカッションが行なわれました。

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青森・八戸「リストランテ澤内」澤内昭宏さんと函館「ル・クリマ函館」関川裕哉さんは、「北海道生活」の取材でもお世話になりました。体が二つあれば両方の会場の講義が聞けたのですが……とはいえ、3会場から2会場に減らすだけでも相当なご苦労があったと思いますので、贅沢言ってはいけませんね。

そうして、世界料理学会はフィナーレを迎えました。

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「料理人が社会に対して発言できるようになった」という声があったように、この6回の学会の歴史の中で、どんどん世の中がそうなってきたように確かに感じます。また今回は、登壇とともに生産者を紹介するという発表があり、革新がありつつも充実した内容になっていました。

この生産者、という視点を持った、別の会場のお話もあるのです。なかなか終われない、学会レポート……

【つづく】

(編集長)http://twitter.com/yukikoyagi/

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